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2010年8月 1日 (日)

「陪審員」

ローラ・ヴァン・ウォーマーという人が書いた「陪審員」という
小説を読んでいる。

ミステリー小説を読むとその国の風俗がよく分かるので面白い。
イギリスの刑事物やアメリカのリーガルサスペンス(法廷もの)が
特に好き。

ただ、ミステリーと言っても謎解きや推理小説とは限らない。
それは一昔前の形態だと思う。

現代では何か "事件" や "陥ってしまった状況" を借りて人間の
悩みや問題点を掘り下げていく。非常に有能な刑事が離婚問題
を抱えていたり、バリバリの女性検事にドラッグに手を染めた
過去があったりで話に厚みを与えている。

「陪審員」は読み出したら薄っぺらい通俗小説でビックリしたのだが
アメリカ独特の”陪審員裁判の不思議”や、”陪審員の選出方法”を
知るには最適で面白い。

陪審員候補者に選ばれてしまった普通に仕事をして生活する人々
の群像劇だ。みんな仕事も休まされ、社会生活が一時停止状態に
なってしまう。主人公は女性作家で仕事に行き詰っているときに
陪審員候補者として召集される。

毎日裁判所に通っては待機して、抽選に当たれば個人的な質問を
されてふるいにかけられるのだ。何日も拘束されたあげくに大きな
事件の陪審員に選ばれて3週間も裁判に参加することになる。

・・・市民の義務とはいえ何でこんなにひっぱり回されなければなら
ないのかしら?・・・と思いながら。

アメリカの陪審員は日本の裁判員とは違って私の印象では選ばれ
方もずっと荒っぽいと思う。

判事を真ん中に弁護士と検事が人種や性別、職業などを見て自分
達のサイドに不利な人物を忌避していく。その作業がとても大事で
裁判の方向を左右することになりかねない。

陪審員候補者に対して質問をして保守なのかリベラルなのかなど
考え方を探っていく。弁護士も検事も自分たちに有利な考えをする人
を選びたいのだが実際に判決のときにどうなるかは誰にもわからない。

リビーという小説家の主人公はこの裁判参加をきっかけに行き詰って
いた人生が好転していくらしい。

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